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尿失禁
尿失禁とは自分の意志とは無関係に尿がもれてしまう症状です。このため、日常生活に支障を生ずる状態で、実際に悩んでおられる方が実は大変に多いようです。尿失禁の状態や原因に応じてきちんとした治療法・対処法がありますので、我慢せずに泌尿器科を受診しましょう。
尿失禁の種類
腹圧性尿失禁
急に立ち上がった時や重い荷物を持ち上げた時、咳やくしゃみをした時など、お腹に力が入ったときに尿がもれてしまうのが腹圧性尿失禁です。これは骨盤底筋群という尿道括約筋を含んだ筋肉が緩むためにおこります。加齢や出産を契機に出現したりします。
切迫性尿失禁
急に尿がしたくなり(尿意切迫感)、我慢できずに漏れてしまうのが切迫性尿失禁です。トイレにかけ込むようなことが起こりますので、外出や乗り物に乗っている時などにたいへんに困ります。脳血管障害などにより排尿のコントロールがうまくいかなくなった時など原因が明らかなこともあります。しかしながら多くの場合、特に原因がないのに膀胱が勝手に収縮してしまい、尿意切迫感や切迫性尿失禁をきたしてしまいます。男性では前立腺肥大症も切迫性尿失禁の原因になります。
溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
自分で尿を出したいのに出せない、でも尿が少しずつ出てしまう溢流性尿失禁があります。前立腺肥大症などの排尿障害が必ず前提にあります。男性に多くみられます。
機能性尿失禁
身体運動機能の低下や認知症が原因でおこる尿失禁です。歩行障害のためにトイレまで間に合わない、あるいは認知症のためにトイレで排尿できない、といったケースです。 この場合、介護や生活環境の見直しを含めて、取り組んでいく必要があります。オムツや下着などを工夫する必要があります。
尿失禁の検査
※下記の検査は当院で全て出来るわけではありません。必要に応じて連携病院をご紹介いたします。
問診と診察
排尿日誌 数日間つけてもらうことで排尿状態や尿失禁の程度がわかります。
検尿 尿の成分を調べ、尿路感染症の有無などを調べます。
pad(パッド)テスト 水分摂取後に、60分間決められた動作や運動をおこない、検査前後のパッド重量を計測し、尿失禁の重症度を判定します。
エコーによる残尿量測定 必要に応じて、残尿量の測定を行います。
チェーン膀胱尿道造影検査 膀胱にチェーンを挿入した後に造影剤を注入し、後部膀胱尿道角を測定します。腹圧性尿失禁の診断に必要です。
尿流動態検査 膀胱に生理食塩水を注入しながら尿が溜まった状態や、排尿しているときの状態を再現して、膀胱の知覚と運動機能を調べる検査です。
膀胱鏡検査 尿道や膀胱の中を内視鏡で観察する検査です。
原因を特定するために脳や脊髄の検査を行うこともあります。
尿失禁の治療
骨盤底筋体操 軽い「腹圧性尿失禁」の場合は、尿道のまわりにある外尿道括約筋や骨盤底筋群を強くすることで、かなりの改善が期待できます。
手術療法 骨盤底筋訓練などの保存的療法では改善しない場合、または不満足な場合。ポリプロピレンメッシュのテープを尿道の下に通してサポートするという「TVT手術」または「TOT手術」と名づけられた手術は長期成績も良好で、侵襲性が低いことも優れています。
※手術は必要に応じて連携病院をご紹介いたします。
薬物療法 切迫性尿失禁には、抗コリン薬やβ3(ベータスリー)受容体作動薬が用いられます。
参考:日本泌尿器科学会ホームページ、東京医科大学泌尿器科病院
頻尿
膀胱の容量はふつう200〜300ccです。 約150ccたまると軽い尿意を、250ccたまると強い尿意を感じるようになります。 平均的な尿回数は、昼間は4〜5回、夜間は0〜2回前後です。一日平均1,000〜2,000ccの尿量がありますが、 水を多量に飲めばそれほど尿の量も回数も増えてきます。 さらに老人になれば、腎臓の尿を濃くする力(尿濃縮力)が低下するので尿の回数は多くなりがちです。とくに夜間に尿に行く回数が増えてきます。夜間に1〜2回小便に起きるのは異常とは言えません。
頻尿の原因
頻尿の起こる原因としては膀胱や前立腺など泌尿器系の臓器に病気が存在して起こるものと、 とくに原因がなく起こる頻尿とに区別できます。尿の回数が多くなる時に、他の自覚症状を伴うかどうかが原因の手がかりに なることがあります。たとえば膀胱炎や前立腺炎では排尿時の痛みや不快感、残尿感を伴うようになります。 また膀胱炎や尿道炎では尿の検査で赤血球や白血球、細菌などが認められ、 前立腺炎(細菌性)では前立腺をマッサージすると白血球が混入するようになります。 このように尿の性質の変化から診断できるものは、診断も比較的容易です。初期の膀胱がんは頻尿で見つかる場合もあります。
また神経性頻尿(心因性頻尿)とよばれる状態もあります。排尿には心理的な要因が関わってくることが多く、試験や面接などの場面や映画館や乗り物の中で、緊張してトイレが近くなったという経験は誰しもあると思います。しかし、一時的なもので終わらず、日常の生活の中で頻繁に起こるようになってしまうと、通常の生活を送るのにも支障をきたすことになってしまいます。
夜間頻尿は、就寝から起床までに3回以上トイレに行くため、睡眠不足など生活の質が低下する状態です。高齢者では転倒のリスクも高まります。過活動膀胱、前立腺肥大症などの泌尿器疾患が原因のこともありますが、睡眠障害が関与している場合が半分以上です。腎機能の低下、高血圧症、心不全、糖尿病など内科的疾患による夜間の尿量増加(夜間多尿)も多く見られます。晩酌など、過度のアルコール摂取も一因です。
尿の回数だけでなく、尿量も異常に増えている場合は多尿と呼ばれ、尿崩症や糖尿病、慢性腎不全などが疑われます。
頻尿の検査
問診 排尿問診票(OABSS)の記載。高血圧 ・糖尿病 ・心疾患などの合併症、泌尿器疾患・精神神経疾患の治療歴、服用薬剤、これまでに受けた手術の有無など。頻尿以外に、排尿痛、排尿困難、血尿などがないか。食事のタイミング、水分の摂取量、コーヒーやアルコールなどの取り方など食生活の状況も重要です。
尿検査 蛋白が多い場合は腎障害、糖が出ていれば糖尿病、白血球や細菌が見えれば膀胱炎、血尿があれば膀胱がんや膀胱結石などを疑います。
血液検査 腎機能のクレアチニン・尿素窒素、血糖、白血球などをチェックします。
超音波検査 腎、膀胱、前立腺の異常をチェックします。
尿流・残尿検査 膀胱の働きや尿道の閉塞の有無を推測できます。
排尿日誌 1日24時間の排尿時刻と排尿量を記録するもので、これによって1日の排尿回数と1回あたりの排尿量を知ることができ、頻尿のおおよその原因を知ることができます。
頻尿の治療と対策
頻尿の治療は、原因に対する治療・対策がすべてといって過言ではありません。泌尿器科疾患では過活動膀胱、前立腺肥大症、膀胱炎、前立腺炎、膀胱がん、神経因性膀胱などが代表的であり、それぞれの疾患に対応した治療を行います。
糖尿病、高血圧、心臓病、睡眠障害、心因性のものなどは専門医との連携が必要です。
また、生活習慣としては、水分の摂取量、コーヒー・緑茶などカフェインを含む飲料、アルコールの摂取量とその時刻について留意する必要があります。また、体が冷えると頻尿になりがちです。季節を通じて、衣服・寝具・室温の調節も大事です。